観測ロケットS-520-26号機

飛翔体近傍の電離圏プラズマ擾乱に関する研究

D2 遠藤 研

観測ロケットは、電離圏のうち特に低高度(約90-300 km)の領域を直接観測する唯一の手段です。しかし、測定に使用するセンサーはロケットの周辺に伸展されるため、ロケットが周囲の電離大気(プラズマ)と相互作用して起きる擾乱の影響が観測データに現れてしまいます。低高度電離圏の研究にとってロケット周辺の環境がどのようになっているのかを調べることは非常に重要な問題なのです。

ロケットが引き起こすプラズマ擾乱として代表的なものの一つが航跡(ウェイク)効果と呼ばれるものです。ウェイクとは、ロケットの後方に形成されるプラズマ数密度の低い領域のことを指し、太陽風の吹きつける月の後ろ側にもできるとされています。本研究では、ロケットのウェイク効果のうち、特にウェイクの形成に伴って発生すると考えられている電磁場擾乱(プラズマ波動)に着目し、よりミクロな立場からウェイク形成の物理を明らかにすることを目的としています。そこで私達は、2012年に鹿児島県内之浦で打ち上げられた観測ロケットS-520-26号機に電子数密度計測器(インピーダンスプローブ)とプラズマ波動受信機を搭載し、実際にロケット周辺のプラズマ数密度分布及びプラズマ波動の観測を行いました。現在は、そのデータの解析を中心に進めており、観測されたプラズマ波動のモードやその励起メカニズムについて考察しています。