装置の小型化・省電力化
世界初の降り込み電子・プラズマ密度同時観測で、ダクト構造と放射線帯消失過程との関連を明らかに
ダクト構造と放射線帯消失過程との関連を調べるためには、放射線帯電子が降り込み消失する現場である地球大気上端の領域で、高いエネルギーの電子とプラズマ密度を同時に計測する必要がある。本研究では、広いエネルギー帯域の電子スペクトルを計測する電子分析器とプラズマ密度計測器を、数kg級の超小型衛星に搭載できるまでに小型化・省電力化する。
降り込み電子を計測する電子分析器は、私たちが開発して超小型衛星への搭載実績のある観測装置をもとに、あらせ衛星に搭載されている電子計測器(図3)でも用いられたアバランシェフォトダイオードを用いて、広いエネルギー帯域が計測できるように拡張することにより開発する。降り込み電子の量がエネルギーによってどのように変化するかを調べることで、降り込んでくる電子のエネルギーに反映される電磁波の特徴をとらえることが可能となる。
プラズマ密度計測器は、電離圏観測ロケット実験等でのプラズマ密度の精密計測で実績のある装置をもとに、従来は1m必要であったプローブ長を短縮するなど小型化を図ることにより開発する。
開発した計測器を超小型衛星に搭載し打ち上げることにより、世界初の降り込み電子・プラズマ密度同時観測を実現する。これにより、ダクト構造と放射線帯消失過程との関連を観測的に明らかとする。