令和6年度第24回STPPセミナー


令和6年度第24回STPPセミナー
2025/02/03

発表者:新井まどか(M1)
発表タイトル:
Comparison of repetition period of whistler-mode chorus and relativistic electron precipitation based on conjunction events of Arase and CALET
発表内容概略:
太陽からのフレアやCME(コロナ質量放出)によって放出された粒子が地球まで飛来し、地球の磁気圏で様々な現象を引き起こします。これにより、地磁気の乱れや放射線帯の変動、オーロラの活動が発生します。この研究は、これらの宇宙天気現象の一部であるREP現象に焦点を当てています。REP現象は、地球を取り囲む放射線帯の電子が、磁力線上を移動する中でプラズマ波動との相互作用により散乱され、地球の大気に降り込む現象です。この現象のメカニズムを解明することで、宇宙天気予報の精度を向上させることが目的です。
先行研究では、REP現象と他のプラズマ波動との関係や、その発生の時間的・空間的な変動が調査されていますが、まだ解明されていない部分が多くあります。これらのギャップを埋めるために、この研究ではREP現象とコーラス波動の関係や、REPの強度変化に影響を与える要因をさらに詳しく研究することが本研究の目的です。

発表者:樫崎太希(M1)
発表タイトル:
(英) A study of the competition between magneto rotational instability and Parker instability based on linear analysis
using ground penetrating radar
(日)線形解析に基づく磁気回転不安定性とParker不安定性の競合過程の考察
発表内容概略:
このセミナー発表では、ブラックホールや星などの中心天体を取り巻く降着円盤について説明されています。降着円盤は非常に高いエネルギー変換効率を持ち、宇宙に普遍的に存在する構造ですが、その動的な特性はまだ完全には理解されていません。特に、降着円盤におけるエネルギーの放出メカニズムとして重要なのが、コロナと呼ばれる領域での逆コンプトン散乱と、磁場の再結合(リコネクション)による加熱です。コロナはブラックホールの周りに存在する高温で密度が低い領域で、ここでの物理過程が高エネルギーのX線を放出する原因となっています。また、降着円盤のダイナミクスを支配する重要な不安定性として、MRI(磁気回転不安定性)とパーカー不安定性があります。これらの不安定性がどのようにして降着円盤の物理状態に影響を与えるかを理解することが、今回の研究の目的です。研究では、これらの不安定性がどのように競合し、実際の降着円盤のスケールでどのような振る舞いを示すかを解析することに焦点を当てています。