令和7年度第3回STPPセミナー
令和7年度第3回STPPセミナー
2025/04/21
発表者:神田恵太朗(D1)
発表タイトル: Lunar subsurface rock size-frequency distribution revealed by ground penetrating radar
月は地球の約38万km先を回る唯一の衛星で、直径は地球の4分の1に過ぎない。近さゆえ観測が容易であり、典型的岩石天体として他惑星研究の比較対象にもなるため、古くから注目されている。月には厚い大気や全球磁場、水循環がほぼなく、静的で過酷な環境に長期間さらされている。その表面は主に➀隕石衝突、➁玄武岩質溶岩の大量噴出による「月の海」、➂形成初期の膨張と冷却収縮に伴う地殻変動の三要因で進化した。無数のクレーターや広大なマリア、断崖・しわ構造はその痕跡である。私は隕石衝突が月面形態と進化史に及ぼす影響に注目しており、本発表では衝突過程のメカニズムと地質学的意義を議論する。
発表者:小川瞭(M1)
発表タイトル: Bulk-edge correspondence with high point-gap topological numbers in non-Hermitian junction systems
トポロジカル絶縁体は体積が絶縁体で境界が導体になる量子相であり、表面状態では運動方向と直交するスピンが現れる。バンドギャップが位相数を守るため、真空との境界でギャップが閉じ導電チャネルが発生する。近年、ハミルトニアンに非エルミート項を導入すると従来には無い例外点や肌効果が現れ、トポロジカル不変量と表面状態の対応も再検討が必要になった。本研究では位相の異なる二つのトポロジカル絶縁体を接合し、非エルミート性を付加したときに発生するエネルギースペクトルの変化と空間モード分布を解析する。両系の位相数に共通する対応関係が成立する条件を調べ、新奇な電導特性や光学応答の開拓を目指す。