加藤 雄人
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研究テーマを選んだ理由
その時々にできることに夢中で取り組んできて、今に至ります、というのが正直なところです。
学部3年の後期に研究室に配属された時期、火星探査機「のぞみ」の打ち上げが目前に迫っていました。【誰も見たことの無い、最新のデータ】に惹かれた(非常に単純な)私は、とにかくのぞみのデータを使って火星について研究したいと考えました。
しかし、のぞみはまだ打ち上げ前。火星での観測開始までは、2年間ほど待つ必要がありました。そこで指導教員の大家先生に大学院前期課程でのテーマとして提示いただいた課題は、固有の磁場を持たない火星の周辺で生じているプラズマ現象と共通の物理素過程「ハレー彗星周辺でのイオンピックアップ過程」。その研究手段が【計算機実験】でした。これが私のシミュレーション研究のスタートです。
自分で作ったシミュレーションコードで計算機上に宇宙空間の現象を再現して、プラズマを構成する荷電粒子の運動や電磁場の時空間発展を(様々な仮定や近似が用いられているにしても)完全に把握することができ、理論研究の結果と直接比較・議論できるシミュレーション研究は、未知の観測結果に惹かれたのと同様に、大変刺激的でした。
博士後期課程進学後には、小野先生にご指導をいただき、高エネルギー電子とプラズマ波動との相互作用に関するシミュレーション研究も開始、現在に至ります。いま取り組んでいるいくつかの研究テーマにも、それぞれ選んだ理由がありますが、いずれも周囲の先生方や諸先輩・後輩との議論をきっかけとしています。
研究テーマを検討中のみなさんには、研究室のスタッフや周りの仲間の話も聞きながら、その過程で目の前に現れた課題に、まずは取り組んでみることをお勧めしたいと思います。お声掛け頂ければ私も喜んでお話させていただきたいと思いますので、お気軽にどうぞ。