令和6年度第14回STPPセミナー
令和6年度第14回STPPセミナー
2024/10/21
発表者:坂井優大(M2)
発表タイトル: The formation processes of the paleo depression in the west-central region of Mare Frigoris based on Kaguya/LRS observations
本セミナー発表のショートトークでは、月の地理的特徴、観測の歴史、及び現在の研究方向についての概説が行われました。月は表側と裏側が存在し、表面はレゴリスと呼ばれる層に覆われています。地形は主に海領域と高地領域に分けられ、海領域は平坦で新しく、高地領域は凹凸が激しく標高が高い特徴があります。海領域は、過去の火山活動による溶岩の噴出によって形成されました。過去の月観測にはアポロ計画によるサンプルリターンや写真撮影が含まれ、そのデータからクレーターの分析を通じて地質年代が推定されてきました。2000年代には地下レーダー観測が導入され、月の地下構造の解明が進んでいます。月周回衛星かぐやに搭載された地下レーダーは月全球の地下境界面を検出し、そのデータを基に月の地下構造が研究されています。
現在の研究では、月の火山活動史と海領域の形成過程を理解することが目標であり、かぐやのデータを用いた詳細な解析が行われています。これにより、月の地質活動の歴史や構造をより深く理解することが期待されています。また、月基地建設などの将来的な計画に向けた基礎データとしても利用されることが予想されます。
発表者:城剛希(M2)
発表タイトル:Whistler-mode wave duct propagation caused by Ultra Low-Frequency wave
このセミナー発表では、研究室M2の城がオーロラの発光やその他の大気への影響に関連するホイッスラーモード波動のダクト伝搬についての研究成果を報告しました。セミナー発表のショートトークでは、オーロラ現象とその背後にある宇宙プラズマ物理学の基本的な概念を説明します。特に、ディフューズオーロラに関連する高エネルギーの電子が地球の大気に影響を与える過程が詳述されています。この発表では、磁気圏内での波動と粒子の相互作用、特にピッチ角散乱と呼ばれる現象が、オーロラの発生にどのように寄与しているかを説明します。また、ホイスラーモード波動とその地球の磁気赤道周辺での生成についても触れられており、これが低周波数のVLF波動として知られていることが述べます。さらに、この波動がどのように電子と相互作用し、オーロラの発光やその他の大気への影響を引き起こす可能性があるかについても解説します。このプロセスは、地球環境や衛星技術にとって重要な意味を持つとされています。