研究テーマ
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研究室・院生メンバーの研究テーマ一覧です。
氏名 | タイトル | |
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D3 遠藤 研 |
飛翔体近傍の電離圏プラズマ擾乱に関する研究 | |
D2 荒尾 圭唯 |
高密度天体近傍の降着円盤における磁気回転不安定性に関する研究 | |
D2 大木 研人 |
磁気嵐時の磁気圏における電場構造とプラズマダイナミクスの研究 | |
M2 石ヶ谷 侑季 |
飛翔体観測に基づくカスプ領域におけるイオン加熱機構の研究 | |
M2 西田 有輝 |
初期地球環境における固有磁場生成過程についての研究 | |
M1 竹中 達 |
衛星観測データ解析に基づく脈動オーロラの周期性に関する研究 | |
M1 解良 拓海 |
ダイナモシミュレーションによる地磁気逆転メカニズムに関する研究 |
飛翔体近傍の電離圏プラズマ擾乱に関する研究
D3 遠藤 研
観測ロケットS-520-26号機
観測ロケットは、電離圏のうち特に低高度(約90-300 km)の領域を直接観測する唯一の手段です。しかし、測定に使用するセンサーはロケットの周辺に伸展されるため、ロケットが周囲の電離大気(プラズマ)と相互作用して起きる擾乱の影響が観測データに現れてしまいます。低高度電離圏の研究にとってロケット周辺の環境がどのようになっているのかを調べることは非常に重要な問題なのです。
ロケットが引き起こすプラズマ擾乱として代表的なものの一つが航跡(ウェイク)効果と呼ばれるものです。ウェイクとは、ロケットの後方に形成されるプラズマ数密度の低い領域のことを指し、太陽風の吹きつける月の後ろ側にもできるとされています。
本研究では、ロケットのウェイク効果のうち、特にウェイクの形成に伴って発生すると考えられている電磁場擾乱(プラズマ波動)に着目し、よりミクロな立場からウェイク形成の物理を明らかにすることを目的としています。そこで私達は、2012年に鹿児島県内之浦で打ち上げられた観測ロケットS-520-26号機に電子数密度計測器(インピーダンスプローブ)とプラズマ波動受信機を搭載し、実際にロケット周辺のプラズマ数密度分布及びプラズマ波動の観測を行いました。現在は、そのデータの解析を中心に進めており、観測されたプラズマ波動のモードやその励起メカニズムについて考察しています。
高密度天体近傍の降着円盤における磁気回転不安定性に関する研究
D2 荒尾 圭唯
大質量天体の代表格にブラックホールがあります。ブラックホールは、ニュートン力学やアインシュタインの一般相対性理論によって度々理論的にその存在を示唆されてきました。その後1970年代に入り観測技術の進歩によりついにその存在を認識することができました。
ブラックホールについては、莫大な重力エネルギーを伴うその特異性から、ブラックホール自身や周辺で引き起こされる物理現象について解明されてない部分が多数残っており、今後のさらなる研究の発展が期待されています。 私はブラックホール周辺で起こる現象のひとつである宇宙ジェットに興味を持ちました。
宇宙ジェットは天体近くから双方向に放出される非常に高エネルギーなプラズマのアウトフロー現象です。そしてそのエネルギー源には重力エネルギーが関与しており、ジェットの中心にはブラックホールなどの重力天体が存在すると考えられています。ジェットの打ち上げを可能にする要因の一つに大規模な磁場構造の発達が考えられています。そして大規模な磁場の発達に欠かせないのが、ブラックホール周辺のガス円盤内で起こる磁気回転不安定性による乱流磁場の形成です。また、これらの物理現象を研究していくには、一般相対性理論の習得が必要不可欠です。
現在私は、中心がブラックホールでない、非相対論的な場における磁気回転不安定性による磁場の成長から学んでいき、並行して一般相対性理論の習得に励んでいる段階です。
低緯度側オーロラ境界に関する研究
M1 大木研人
私はオーロラ粒子の起源とオーロラ粒子で通じた電離圏磁気圏結合系について興味があったので、4年生の研究発表会では低緯度側オーロラ境界の統計解析に関する論文を紹介しました。
オーロラは磁気圏から磁力線に沿って降り込んできた粒子が地球上の中性大気と衝突する時に起こる発光現象で、このことより磁気圏を投影したものと言われています。オーロラ粒子は磁気圏のプラズマシートと呼ばれる領域から降り込んで来ると考えられていて、高緯度側のオーロラはプラズマシート境界層、低緯度側のオーロラはプラズマシート中心部あるいは地球側に近いところとつながっていると思われていますが、まだわかっていないことも多く、電離圏のオーロラと磁気圏での粒子分布を考えていく上でオーロラ境界を研究することは重要です。
今回発表した論文では、地上観測のデータを用いてエレクトロンオーロラとプロトンオーロラの赤道側境界の位置を安定した磁気圏状態の場合と地磁気活動が強められた場合に分類し、統計的に解析していました。今後は、磁気圏プラズマシートの地球側境界についてエレクトロン、プロトンの場合それぞれについて解析して、電離圏磁気圏の研究をしていきたいと思います。