NASAアルテミス計画が月資源探査に関連した提案機器を採択

宇宙飛行士が科学装置を月面に設置している想像図(Credits: NASA)

NASAはJAXA等と共に、アポロ計画以来はじめて、半世紀ぶりに人類を月面に送るというアルテミス計画を進めています。NASAは宇宙飛行士が月面に展開する科学機器を世界中に公募していましたが、3月27日朝(日本時間)に3つの機器を採択したと公表しました。そのひとつに当研究室の熊本篤志准教授らが協同で開発し提案していた月面誘電率計測器(LDA)が含まれていました。

LDAは月面の誘電率を計測するものです。宇宙飛行士により月面上に設置され、独立した小型基地のように月面で観測をします。月レゴリスの誘電率分布を測定することで、表面の土砂の密度(しめ固まり度合い)に関する情報を得ることができます。また、表面の温度変化に応じて、誘電率がどのように変化するかもあわせて確認することで、月面に氷が存在しうるのか、という問いに関連した基礎科学的なデータを獲得します。 現在、将来の月利用が活発に議論されており、月資源に対する期待が高まっています。少なくとも月開発の最初の段階では、月面を深く掘削するのではなく、ごく浅い部分の物質を利用する形で月資源が獲得されると考えられます。LDAによる観測は、過去のNASAの観測や将来のLUPEX、TSUKIMIなどの観測とあわせることで、月面の浅部地下の理解を進めると期待できます。LDAで月面の誘電率を確実に測定することは、NASAの過去の周回機による電磁波観測に対する重要なグラウンドトゥルースとなるだけでなく、JAXAの進めている月極域探査ミッション「LUPEX」の地中レーダ観測データの解釈にも役立つからです。また総務省が進めているTSUKIMI計画は、月を周回しながら月面広域の地下浅部の誘電率を観測する予定であるため、その解析にも直接的に役立ちます。

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