脈動するオーロラの起源
地球の極域でみられるオーロラは、地球磁気圏から磁力線に沿って降り込んでくる高エネルギー粒子が、超高層大気の中性原子や分子と衝突することにより発生します。オーロラは、カーテン状のディスクリートオーロラと、ぼんやりとしたディフューズオーロラとに大別されます。ディフューズオーロラの中でも、数秒周期で明滅する特徴的な発光現象が生じていることが明らかとなっており、「脈動オーロラ」と呼ばれています。
国際宇宙ステーションから撮影されたオーロラの映像(NASA)
脈動オーロラの明滅する周期は、高エネルギー電子の降り込むタイミングによって決められていると考えられています。2016年に打ち上げられたジオスペース探査衛星あらせ(ERG)の観測により、磁気圏で周期的に発生するプラズマ波動であるホイッスラーモード・コーラス放射が、電子を降り込ませる要因となっていることが明らかとなりました(Kasahara et al., 2018)。当研究室では、コーラス放射と高エネルギー電子の相互作用に関する研究を衛星観測結果の解析と理論検討、計算機シミュレーションといった様々なアプローチで進めています。
最近の研究成果として、コーラス放射が電子を大気に降り込ませる物理過程に関する新たなモデルを提案しました。このモデルによって、コーラス放射の振幅と電子の量については従来考えられてきた単純な比例関係にはなく非線形の波動粒子相互作用が重要となること、オーロラを引き起こす電子はコーラス放射によって磁気圏内をダイナミックに運動しつつ大気に降り込んでくることが明らかとなりました。
関連成果:Kitahara and Katoh (JGR, 2019)、石澤元気2020年度修士論文
Pulsating Aurora: ERG observations w/ Japanese subtitle from skasahara on Vimeo.
関連情報:脈動オーロラ研究プロジェクト(http://www.psa-research.org)