磁化惑星のオーロラを形成する電子加速過程を統一的に説明する物理モデルの開発

M2 齋藤 幸碩

 

皆さんは、「オーロラ」がどのように発生しているかはご存じでしょうか?オーロラとは、惑星周囲の宇宙空間である磁気圏から「高エネルギー電子」が惑星の大気に突入し、大気粒子と電子が衝突して大気粒子が励起、そして大気粒子がエネルギーを「光」として放出しますが、その「光」です。よって、オーロラが生じるには惑星大気に突入する「高エネルギー電子」が必要です。このような高エネルギー電子を作り出す「電子加速過程」は様々考えられていますが、私たちはその中でもAlfven波と呼ばれるプラズマを媒質とする電磁波動が引き起こす「Alfven波加速」と呼ばれる電子加速過程について研究しています。

なぜAlfven波加速に注目しているのか?これは近年の地球と木星の観測でAlfven波加速がオーロラの構造を理解する上で注目すべきであることが明らかになったためです。

1996年に打ち上げられたNASAのFAST衛星によって、地球のオーロラ上空でAlfven波加速による電子加速が確認されました。さらに、2016年に木星に到達し観測を始めたNASAの木星探査機Junoによって、地球のオーロラの100倍以上の明るさである木星のオーロラ上空で、Alfven波加速が地球の100倍大きいエネルギーを持つ電子を発生させていることが示唆されています。

 

NASAのハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された木星の紫外線オーロラ画像

https://hubblesite.org/contents/media/images/2000/38/1011-Image.html?Year=2000&news=true

 このように、Alfven波加速の観測は次々に見つかり、地球や木星をはじめとする磁化惑星におけるAlfven波加速の重要性は高まっています。しかし、これら磁化惑星での観測結果を統一的に説明する物理モデルは未だ提案されていません。

私たちは、Alfven波加速が各磁化惑星でどれほどの電子加速を引き起こすか、数値シミュレーションを用いて比較惑星学的に解明しようと日々研究しています。これまでに、Alfven波加速を起こすAlfven波の伝播媒質であるプラズマが、そもそも磁気圏でどういった分布をしているかを計算するモデルを開発してきました。これにより磁気圏プラズマ環境の推定とAlfven波の空間的特性変化を定量的に考えることを可能にします。このモデルを基に、具体的なAlfven波加速の数値シミュレーションに挑みたいと考えています。