レーダサウンダ観測に基づく月・惑星表層構造の研究

准教授 熊本

レーダ(サウンダ)は,非接触・非破壊で月・惑星内部を探査する有力な手段です.1970年代のApollo 17による月低緯度上空からの地下探査以降,2000年代には欧州・米国の探査機(MEX,MRO)による火星全球地下探査,日本の探査機(SELENE)による月全球地下探査が進められました.この時期,東北大はSELENEミッションに参加し,レーダサウンダによる月全球探査の実現に貢献しました.火山活動で噴出した溶岩層の境界面をレーダで検出することによって,月の複数の海領域で過去の火山活動の履歴を明らかににしました.

2010年代以降は,バイスタティックレーダ,ローバ搭載地中レーダなどの技術が導入されて,欧州(Rosetta)の彗星核探査,中国(CE-3,4,5)の月面表層探査,米国(Perseverance)の火星表層探査が進められました.科学探査にとどまらず,民間も含め各国が月・火星の開発・利用に向かっていく流れは,今後いっそう加速されるものと予想されています.

現在,東北大では,これらに先立つ科学探査に提供できるようなローバ搭載地中レーダ・小天体内部探査レーダの検討・基礎開発を進めています.SELENEで全球地下探査を実現させたレーダサウンダの技術・知見をもとに,高分解能化のための送受信機フロントエンド部の高周波化,SELENE全球地下探査データとCE-3,4月面地中レーダの対比解析,月・火星土壌中の電波伝搬シミュレーションによる解析手法の検討などに取り組んでいます.
これ以外の研究も含め,詳細は以下をご覧ください.
http://ariel.gp.tohoku.ac.jp/~kumamoto/jp/